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「な、なに……」
「しー」
意味が分からなくて戸惑う唇に、右手の人差し指を当てられ、封じられる。
起き上がりたくても、上に真幸くんが乗っていて、あたしを見下ろしているから、何も出来ない。
この先は、……知ってる。
あたしは、眠り姫だから。
「んっ……」
真幸くんの唇が、額に当たる。
「っ……」
次に、左頬。
少し上にあがって、目の下。
わざと唇を外されているみたいな焦らすキスが、もどかしい。
「ま、まさきくん……」
唇をキュッと結んで、見上げる。
一応、睨んだつもりなのだけど、思うような効果はなかったみたい。
「なに?どこに欲しいって?」
反応を楽しむような笑顔が返ってきたから。
あたしは、目を斜め下にそらして、真幸くんの服をつかむ。
「……口じゃないと……眠り姫、目、覚めないから……」
というか、元から起きているけれど。
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