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すっかり静かになった保健室で、あたしは笑う。
「ん?なに?」
「んー、なんか、楽しいなって思って。去年とか……1年前とか、こんなんじゃなかったから」
「ああ、俺を見てただけの時?」
「そう」
こんなふうに、話せる日がくるなんて、思ってなかった。
好きになるなんて、好きになってくれるなんて、思わなかった。
「あのね、もう少しで1年になるんだよ。あたしたちが、初めて話した日から」
「え、マジ。俺が、ここ怪我した日?」
真幸くんは、自分の肘をこちらに向けて、指差す。
「うん」
あたしは、傷痕ひとつない綺麗な肘を見て、うなずく。
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