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手当てをしていたら、いきなり手をつかんできたんだよね。
びっくりしたな……。
窓から眺めているだけの人が、目の前にいたから。
あたしに、触れていたから。
まだ、恋心にもならない想いを秘めていた、あの頃。
今なら分かる。
あたしは、君と恋に落ちたくて、いつもここから見ていたの。
「最初は、あたしのこと“保健室の眠り姫”って呼んだよね」
「うん。可愛いあだ名だと思ったから」
「……可愛い?」
初めて聞いた。
あたし自身は、思ったこともない。
その呼び名は、嫌いだったから。
「可愛い。キスで目覚めるんでしょ?いつかしてやろうと思ってた」
いまさら、さらっととんでもない告白をされた。
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