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玄関のチャイムが鳴り、ぼんやりとした意識で目を開ける。
ベッドサイドに置きっぱなしだったスマホで時間を確認すると、午前0時過ぎを示していた。
「こんな時間に誰だよ」
寝惚けていたからか、誰が訪ねて来たのかなんて想像もしてなくて。
ドアを開けてそこに立っていた人物に目を見張った。
「井上……」
「な、何で……」
退社してからかなり時間は経っていた筈なのに、岡田はスーツ姿で。
「話がしたい」
ネクタイを指で緩めながら、ドア脇の壁に凭れた。
話……?
もう身体だけの関係は終わらせたいって話か?
それなら俺もちゃんと話さなきゃな。
「解った……」
玄関のドアを大きく開くと、岡田は慣れた仕草で靴を脱いで部屋に上がる。
するとすぐに玄関先で動けない俺の方へクルリと振り返り、冷たい視線を俺に向けた。
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