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「今更だろ、言えよ」
「そうだな、今更だ。もっと早く言えれば良かったんだけど」
今度は俯いた橋本が、足元の花束に視線を向ける。
「俺、小川が好きだった」
「……そっか」
「うん、そう」
お前がずっと言いたくても堪えていたのは、それだったのか。
いきなりの告白に驚くより、自然に納得してしまって。
「遅ぇよ、バーカ」
そんな答えしか返せなかった。
橋本の想いに気付いていた訳じゃない。
ただ、たまに見せる優しい目に、心のどこかで俺も惹かれていたんだと思う。
もっと早く告白されていたら、今は変わっていたのか?
橋本は今も俺の隣で笑っていてくれたのか?
解らない。
解らないけど胸が苦しくて、じわりと目に涙が浮かぶ。
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