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「井上……」
甘く、愛しそうに岡田が俺の名前を呼ぶ。
怠い上半身を何とか起こすと岡田が咄嗟に支えてくれて、抱き締めて触れるだけのキスをしてくれる。
「じゃ、また会社でな」
そして、この夢の終わりを残酷に告げるんだ。
◇◇◇◇◇
「おはようございます」
休み明けの月曜、出社した俺に岡田が何事も無かったかのように「おはよう」と挨拶を返してくれる。
俺のデスクは岡田の隣。
だから俺の手際の悪さが目について、いつも手伝ってくれるんだろうな。
だから俺が特別でも何でもない。
岡田が俺をセフレに選んだのも、きっと近くに居たからってだけだ。
デスクに着いてPCを起動する。
起ち上がる画面をぼんやり見つめていると、チームリーダーの島田さんがビシッとスーツを着こなして「おはよう」と出勤してきた。
「あ、島田さん。この間の取引先の話なんですけど……」
岡田が話し掛けた事で、島田さんが隣り合う俺と岡田のデスクに近付いてくる。
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