午前0時の恋人

6/15
前へ
/34ページ
次へ
「井上……」 甘く、愛しそうに岡田が俺の名前を呼ぶ。 怠い上半身を何とか起こすと岡田が咄嗟に支えてくれて、抱き締めて触れるだけのキスをしてくれる。 「じゃ、また会社でな」 そして、この夢の終わりを残酷に告げるんだ。     ◇◇◇◇◇ 「おはようございます」 休み明けの月曜、出社した俺に岡田が何事も無かったかのように「おはよう」と挨拶を返してくれる。 俺のデスクは岡田の隣。 だから俺の手際の悪さが目について、いつも手伝ってくれるんだろうな。 だから俺が特別でも何でもない。 岡田が俺をセフレに選んだのも、きっと近くに居たからってだけだ。 デスクに着いてPCを起動する。 起ち上がる画面をぼんやり見つめていると、チームリーダーの島田さんがビシッとスーツを着こなして「おはよう」と出勤してきた。 「あ、島田さん。この間の取引先の話なんですけど……」 岡田が話し掛けた事で、島田さんが隣り合う俺と岡田のデスクに近付いてくる。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

305人が本棚に入れています
本棚に追加