第1章

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「ねぇ……」 「……」 ” 何か、言ってよ ” そう言おうとした私の言葉は、コージが私の唇を塞いだので、発せられることはなかった。 「んっ、」 突然の不意打ちキスに、目を見開いた。すぐに口内に侵入してきた熱い舌。逃げる私の舌にスルリと絡み付く。さっきの優しい、触れるだけのキスとは全然違う。 ちょっと待って! さっき、これがファーストキスかな? って、悩むほどの初心者なんですけど? これって、いわゆる大人のキス? って、もう私も年齢的には大人だけど……貪るようにキスされて、私は息も絶え絶えだ… く、苦しい……キスで死ねるのかな……死因、キス・(ディープ)とか? やだやだやだ、そんなことになったら、恥ずかし死にする! 渾身の力をこめて、コージの胸を押し返そうとした――が、その手は簡単につかまり、繰り返される激しいキスに、私の身体の力が抜けていく。 「んっ」 もうっ、無理……、鼻からぬけるような吐息まじりの声が漏れて、完全に腰砕けになりそうになった時、コージの手が私の腰を支えた。下唇をチュッと食むように離される。 「落ちた?」 「……?」 落ちたって、どういう意味よ? 貪る酸素の合間に、言葉にならない疑問を目で投げかける。ニィッといたずらっ子みたいに笑ったコージが、 「俺と、実尋は付き合っている、わかった? それ以上に、うるさい事ばっかり言うと、またキスしてず~っとその口、塞いでるよ? いい?」 いい? って……今、軽くキスで殺すよ? って言わなかった? 瞬き出来ないくらい目を見開く私の前で、コージが妖艶に自分の唇をペロリと舌で舐めた。 な、なんか、やらしい……
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