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それからしばらく、会話らしい会話もないまま……、車は走り続け……どこかの駐車場に静かに停止した。
エンジンを切ったコージが先に車を降りて、助手席側に回り、ドアを開けてくれた。
「降りて……」
と一言。言われるままに降りると……目の前に大きな高層マンション。
えっ? 何? ここ……
「行くよ」
そう言って、当たり前のように繋がれた手。
「あっ……」
スタスタと自動ドアを抜け、広々としたエントランスを歩く。私は引っ張られるままに付いていくしかなくて――、再度突き当たったガラスのドアの前、ポケットから出した鍵で、ロックを手慣れた手つきで解除する。
えっ? まさか……目を丸くした私。
「あっ、あのぅ…ここって……」
おずおずと声をかける私に、ニィッとコージは口角をあげた。
「ここ? 俺んち♪」
や、やっぱり?!
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