第1章

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「ヤバイ……」 「えっ?」 押しつぶされてるから、コージの声がよく聞こえない。 「実尋はさぁ~」 「?」 「俺を持ち上げる天才だよね?」 「えっ? 何?」 何か話してるのはわかるけど、何を言ってるのかはよく聞き取れない、 「独り言」 「何? ちょっ、ちょっと……、もう少し緩めて」 もがく私の上の方で、見えないけれど、コージが笑った気配。 そして、ようやく、少しだけ緩めてくれた。 「ねぇ……」 今度はちゃんとコージの声が聞こえて、胸の間から、目だけで見上げる。 「何?」 見下ろすコージと、見あげる私。綺麗な口角が上がって、優しく笑う。 その笑顔に、私だけに向けられた笑顔に、胸の奥がキュンとする。ドキドキドキ…… 「俺とさ」 「?」 「結婚しよっか?」 「……」 すべてが止まった気がした……
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