第1章

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ギョッとした私の手を引いて、エレベータに乗り込んだ私達。ものすごい早さで上昇していく。いったい、何階に住んでるよの……進んでいく数字に、目が点だ。 こんなところに住んでるなんて……コージってお金持ちだったの? 親が? お坊ちゃまとか? そもそも、俺んち、って一人暮らしってこと? 誰かいても困るけど、いないのも困るんですけど、一人アタフタする私。 ――と、手を引かれて、エレベータをおろされた。 「わっと、」 転ばなくてよかったぁ~、とホッと息を吐いたところで、またも歩き出したコージについていく。 と、ドアの前で止まった足。コージが鍵のロックを外す。 「ね、ねぇ、」 「ん?」 ドアノブと握ったままコージが手を止め、私を振り仰いだ。 「だ、誰かいるの?急にお邪魔して大丈夫なのかな? 私何も手土産とか持って来てない……」 テンパった頭で必死に考える。 「兄貴と住んでる、土産なんていらない」 「お、お兄さん?」 「うん」 「お兄さん、いたんだ……」 「あぁ……」 それが、なに? って、顔をされた。改めて思ったけど、私って、ほんとコージのこと、何も知らないんだなぁ…って――、なんだか、急に寂しくなった……
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