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と、いきなり身体が反転。
「わっ」
驚きの声と同時に、ガチャンと扉のしまる音――、そして私はコージの胸の中にいた。
「えっ……」
わ、私、抱きしめられてる? 理解するのに数秒。そしてそれを理解して、パニックに落ちる。だって、生まれてこのかた、家族以外にこんな風に抱きしめられたことはないもん。ドキドキして心臓が壊れそう。
ギュッと背中に回されたコージの腕が私をしっかりと抱き寄せる。頬にあたるコージの胸。
あれ? コージの心臓もドキドキしてる? 伝わる鼓動に、嬉しさが込み上げた。
コージも私にドキドキしてくれてるのかなぁ? うっとりと目を閉じそうになった時、
「ごめん……フライング」
かすかに聞こえたコージの声。
「?」
フライング? 意味がわからなくて、ほんの少し、距離をとって、コージの顔を見ようとしたら――、
後頭部にまわされたコージの大きな右手に、見ないようにと再び胸に押さえつけられた。
「今は、見ないで……」
「……」
「後、少しだけ……」
そう言ってもう一度ギュッと抱きしめられた。
「よかった……間に合って……」
切なげな呟き……余裕そうに見えてたコージの発言や行動。
本当は違った? もしかして、私と同じで必死だった? ほんの少し垣間見えたコージの心に、確かに、私の心が震えた。
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