第1章

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しばしの熱い抱擁のあと、ゆっくりと離された身体。 人、一人分の距離を開けて、私とコージが見つめあう。 「怒ってる?」 少しだけ小首を傾げ、いつもより少し幼く見える髪型で、コージが私の反応を窺っていた。フルフルと首をふる私。 「よかった……」 安堵の笑顔を浮かべ、 「とりあえず、玄関だし……ごめん、中はいろっか、コーヒー入れるよ、アイスでいい?」 「あっ、はい……」 「じゃぁ、こっち」 真っ直ぐに伸びた廊下をついてくるように促され、正面の扉が開かれると……そこはモノトーンで統一された、広々としたリビングが広がっていた。 「わぁ……」 思わず漏れた、私の感嘆の声。綺麗に整理整頓されている。 「そこ、座って待ってて」 そう言って、コージはキッチンらしき場所へと消えた。
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