ウ・テ・ル・ス

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「私の不注意でぶつけてしまって申し訳ありません。 お怪我はありませんか?」  頭をあげて相手を見た瞬間、 真奈美は息を飲んだ。 オリュンポス十二神のひとりアポロンがそこにいた。 長身で恵まれた体躯のその男はサングラスを掛けていて、 その表情や眼の色などは確認できなかったが、 その白く光った肌と鋭いあごの線は、 女子高時代の教科書で、 飽きずに眺め続けたベルヴェデーレのアポロンそのものだった。
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