ウ・テ・ル・ス

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「あの…修理はさせて頂きますので…保険の関係で事故証明が必要だから…今警察に連絡を…。 」  なぜかとぎれとぎれにしか言葉が出なくなってきた。 真奈美は顔も赤くなってきている事が自分でもわかった。 「賠償なぞいらん。 そのかわり…。 」  男が妙に赤い唇を動かして低く落ち着いた声を発した。 その言葉が、 日本語であることがなぜか不思議に思えるほどた。 「今夜仕事が終わったら、 ここに来い。 」  男は、 名刺を真奈美に渡した。 「えっ、 でも…。 」  男は車に乗り込むと、 戸惑う真奈美を残して破損したライトのまま走り去っていった。 呆気に取られながら車を見送る真奈美。 車がかなたに消えると、 あらためて受け取った名刺を見た。 名刺には『ライフ・デザイン・オフィス』という社名と住所、 電話番号だけが表記されていた。 渡した男の名前は不明だが、 彼が言った『ここ』に行けは、 きっとそれを知ることができるだろう。
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