ウ・テ・ル・ス

25/363
前へ
/363ページ
次へ
「ところで君…、 本当に女だよな。 」 「そうですよ。 今ここで脱いで証明しましょうか!」  閉まるドアの向こうで聞こえる男の笑い声。 エレベーターは憤慨する真奈美を載せて3階へ昇っていった。  やがてエレベーターが制止すると、 小さな鐘の音とともにドアが開く。 目の前に1階のロビーよりも広いスペースの社長室が現れて、 真奈美の度肝を抜いた。 側面に何台ものモニターが設置されたオーディオビジュアルコーナーがある。 その横にプロジェクターとスクリーンが配置され、 いくつものLAN端子がのぞくワークデスクがある。 ウエブ会議が出来る会議室と言っても、 きっと今の真奈美では理解できなかったろう。 対角には、 ヨーロッパデザインの応接セットとバーカウンター。 なんとアンチークなビリヤード台まであった。 この部屋の主はどこかと探すと、 はたしてアポロンは、 一番奥の大きなマホガニー調のデスクで、 PCモニターを覗き込みながら盛んにキーボードを叩いていた。
/363ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加