ウ・テ・ル・ス

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 背後のベッドで全裸の女が動いた。 染められたゴージャスな髪が、 わがもの顔にベッドに広がる。 彼はそれを嫌ってベッドから出たのだ。 今夜のセックスもつまらなかった。 もういい加減、 セックスに幻想を抱くのはやめよう。 そんなことを思っていると彼のスマートフォンが勢いよく震えた。 電話は彼のビジネスパートナーの戴秀麗であった。 「秋良、 日本領事館へのパスポート申請が無事に受理されたわよ。 」 「ああ、 ご苦労さん。 」 「体調が落ち着いたらウテルスを先に帰国させます。 」 「わかった。 …まだ使えそうか?」 「もう限界でしょうね。 安モーテルのベッド並みに、 くたびれて、 固くなってるようだし…。 それに時々幻聴が聞こえるみたいよ。 」 「そうか…。 」 「私もパスポート発給が確認でき次第、 帰国するわ。 」 「一週間ほどそちらで休め。 次回のマネージャー会議は、 お前抜きでやるから…。 」 「ありがとう。 お気持ちだけいただくわ。 それじゃ。 」  秋良は切ったスマートフォンを眺めながら、 休みを取ることを恐れていると思えるほど、 必死に働く秀麗の原動力はいったい何なのだろうかと考えた。 このビジネスで資金を貯めて、 中国大陸の不動産に投資したいと言っていたが、 仮にそれで巨万の富を得たとしても、
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