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残念ながら現実ではドラマと違って彼女を助けてくれるような運命の人が現れるようなことはなかった。
今夜も、
数えられないほどの荷物の宅配業務を終えてやっと帰宅したのだが、
アパートの門の前でたむろする下品な身なりの男達を見ると、
疲れて丸まった背筋を再び伸ばして戦いに備えた。
家族を守れるのは自分しかいない。
「なんか御用ですか?」
男達は、
声の主を一斉に見た。
宅配便の制服姿の真奈美の姿を認め、
相手が男か女かしばし確認しているようだった。
「あんた、
森さんの家族かい?」
男は、
煙草をくわえたまま真奈美に言った。
「ええ、
長女です。
」
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