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ふっと、息をつくために離れた唇が、すでに恋しい。
「…やばいかも。」
「え?」
「すごい、固くなった」
私の右手を掴んで導いたのは、おへその下の、窮屈そうに押し上げられている男性特有の部分。
倉坂さんの言葉通りにそこはしっかり主張をしていて、思わず手を当てて摩りながら、見つめてしまった。
「…真実ちゃんって」
「え?」
私の様子を面白そうに見つめて、吸いかけの煙草を灰皿に押し当てる。
「何考えてるか、解らないね。」
「え、え? それはどういう…」
「なんか、裏がありそう。」
「裏…」
云われた意味が悪いのか良いのか解らずぽかんとしていると、倉坂さんが私の手を外して席を立った。
…あ。これ以上は、さすがにね。
店内だし。
一人で納得して少し残念、いやだいぶ離れたくなかった気持ちと、安心が広がったのもつかの間。
倉坂さんが入り口まで行って何かを確認した後戻ってきたときに、明りを落とす動作を見て、びくりと体が揺れた。
まさか…
「こっち、おいで」
やんわりと、でも有無を言わせない物言いと雰囲気に、
一気に余韻に浸っていた体が再度熱くなった。
「え、でも…」
「いやだ?」
この間でその仕草と問いかけは卑怯だ。
軽くこちらを伺うように首を傾げる動作が、女々しくなくて、悔しい。
引き寄せられるように椅子を降りて近付けば、広げた両腕が力強く私の体を引き寄せて胸元に収める。
そのまま流れるように唇を合わせてまたもや甘い刺激を味わう。
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