第1章

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その違和感はすぐだった。 この睡眠を無駄に貪る私が… 目覚まし時計よりも早く怠さもなく起きれるなんて。 覚醒した女の感覚がここまではっきり表面化するとは思わなくて自分の単純さに少し笑う…。 胸が疼いて何かをしたくてしょうがない。 同時にそれは倉坂さんに会いたいという意味も含んでて…。 もっとこの気持ちが育って衝動が強くなった時、私はどうするんだろう。 すっと立ち上がって部屋中央に置いてる低い丸テーブルの上に佇むボトルを取って、乾いた喉にお水を流し込む。 こくりと喉を鳴らした時に昨夜の情事を思いだした。 この口で彼を愛撫したこと…。 途端に体の熱が上がった気がして、振り払うように頭を振る。 「だめだー!シャワー浴びて準備しようっ」 頭を冷やそうにも、裸になると触られた記憶が部分部分で思い出されて、言い様のない動機と締め付けが胸を襲う。 きっと根深くなっていく… 止めるなら、早めに、 今の内に、 でも、 もう記憶から消し去る事は出来ない気がした。 彼の温もりも肌の感触も、 交わる舌の熱さも、 匂いも、 吐息の音も、 本能で全てを拾うように 彼の存在を喜んでいるから。 どんなに頭を振っても、冷た目のシャワーを浴びても、体を泡で擦っても、頭の中に、倉坂さんがいる。 嫌な予感を確かに感じているのに、 それを無視してどんどん舞い上がっていく自分が怖い。 淫らな妄想に取り憑かれた頭を抱えていつもの時間、いつもの仕事場所に向かう。 通勤途中の景色が色味深く鮮やかに見えた事は、たまたまだと思いたい。
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