第1章

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明け方に目が覚めて、全く深い睡眠が取れなかったと、重だるい頭が訴える。 昨夜は早々にベッドに潜り込み、思考を停止させようと試みたけれど、ダメだった。 目を閉じればあの笑顔が。 諦めて暗闇を見つめればあの声が。 体勢を変える度に 触れられた肌が記憶を辿る。 重症だ。 せっかくの夜の時間も映画を観る気も本を観る気もご飯を作る気も湧かなくて、ただひたすら倉坂さんの事ばかり考えていた。 これって27歳の女として大変な事態じゃない? 仕事が出来なくなる程ではないけれども、生活が一変する程の余裕の無さは危険な事だ。 「ぜったい、向こうはこんな風に思い出したりしてないんだろうな…」 無意識に呟いた寂しさは空中にとけて消える。 もしかしたら、真剣に想いを伝えたら、 倉坂さんは私の事を考えてくれたりするのだろうか。。。 今更なことかもしれないけれど、 私は彼を好きで、 出来るのなら、1からやり直したい。 このまま体だけの思い出でした、なんて事には絶対したくない。 長い木曜の夜を終えて、今日も私は昼の事務と夜の仕事。 少し緊張するけれど、 CAZOに行く決意は固かった。
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