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心の中で叫んだら、
泣きたい衝動がもう止まらなかった。
けれど、こんな場所で冷め覚め泣ける程世間知らずでもないし、
あくまでも仕事中の彼を困らせる訳にはいかない。
だから、お願い倉坂さん、
私にも気を配って、
こっちを見て話して。
あの特別な目で私を見てくれたら、少しはこのかなしさも落ち着くのに。
けれど、願いは虚しく、
結局倉坂さんは私に近寄る事なく、話題を振って構ってくれるでもなく、常連さんを大事に接客していた。
飲みすぎな私への配慮も今日はない。
気遣ってくれるのは、リクさんや初めて会った常連さん達で、
あんな事がなければきっと普通に楽しい空間だったのかなとか、いろいろ思考が巡る。
「真実さんは彼氏とかいないの??」
「えぇ~?いまぁ?
いないですよー。絶賛独り身でーすwww」
体を支配するアルコールは呂律すら危うくさせる。
ヘロヘロになりながら、カウンターにもたれる私の体を気遣いつつ、リクさんは自分のお酒も追加する。
「へぇー、作ろうとも思わないんですか??」
「うーん?
欲しいとは思うけどねぇー。どうだろうー。誰かいい人いないかなぁ。リクさん誰か紹介してwww」
「え、真実さんにぃ?
なんか難しそー。」
「難しいってなにさー。
私全然厳しくないよぉー。
寧ろ自由なお付き合い希望だしw」
「なんすか、彼氏彼女の自由なお付き合いってw」
「性格わかればあんま束縛とかしないしぃー。私もあんまりされたくないしー。」
「つまり、まだ遊びたいんすね」
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