第8話 自己責任と取捨選択

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『まだ遊びたいんすね』 コロナを口に含みながら リクさんが言った言葉がぐるぐる頭を巡る。 私は遊びたいのかな? 刺激的な体験がしたかっただけなのかな。 非日常な空間、普段接した事ないタイプの人達。 新しい飲み場。 どれもが初めての体験で、 新鮮。 でも、この気持ちは? ただ、倉坂さんに刺激を求めてるだけで、ここまで切なくなるものなの? 酔いが回った私の目線は遠慮なく倉坂さんに向けられている。 変わらずに常連さん達に勧められるままテキーラやら飲んではしゃいでる姿が可愛くて愛しくて、胸が暖かくなる。 だめ、だ あまり見過ぎたら他のお客さんにも気持ちが伝わってしまう。 そう自覚した瞬間に、 倉坂さんがこちらに顔を向けた。 思わず、初心な女の子のように表情が強張ってしまう。 「楽しんでる?」 かれこれ1時間ぶりに、オーダじゃない言葉をかけて貰えた事が、こんなに嬉しいなんて…。 「はい、楽しいです」 「みんないい奴だから警戒しないで打ち解けて」 言い終えると同時に口元を引き上げて微笑む姿が、私にとって完璧な仕草に見えて、惚けてしまう。 また倉坂さんはすぐに他のお客さんに目を向けて話を始める。 私はどうしたら、そんな風に気にかけて貰えるのかな…。 もっと通いつめて常連になったら?? でも、それは 私が望む関係性なのかな…。 お客さんとして構われたいのか、 倉坂さんに男として構われたいのか…。
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