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きっと、両方が欲しいのが私の願い。
そして
その特権を得れるのは、彼女という立ち位置だけな気がする。
まだお店に来て2時間は経っていないのに、私は出来上がりすぎて足元がフラフラしている。
座りたい。
けど、座ったら寝ちゃいそう…。
どうしよう、もう帰る?
どのみち今日はもう関われそうにないし…。
黙り込んで空気が変わった私に気づいたリクさんが覗き込んできた。
「大丈夫ですか?結構ハイペースで飲んでたから」
「ぅ、うん。だいじょぶ。」
「座ります?」
「や、いいかな、座ったら寝ちゃいそうで…」
「そんなに?笑
あ、じゃあこうしましょう」
リクさんは言葉と同時に私の肩を軽く引き寄せた。
流れるままに誘導された私の左側、リクさんに若干凭れかかるようにして体重を預ける体勢になる。
「え?」
「や、なんもやらしい意味じゃなく、真実さん足元ふらついてるし、少し寄りかかったら楽なんじゃないかなと思って」
「あ、えと、、、」
どうしよう、確かに楽は楽だし、人肌は落ち着くけども、リクさんを私は好きじゃないから、気持ちが良くない。
早く離れないと、と考えた時に一瞬倉坂さんの楽しそうに笑う顔が見えて、体が止まる。
少し、
ほんの少しだけ、
私の魔がさしたとしか言いようがない。
この光景を見たら、倉坂さんが気にしてくれたり妬いてくれるかもなんて、
幼稚で浅はかすぎる考えが起こす結果を、お酒が入っている私は想像出来なかった。
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