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「あれー?リクくーん??何役得してんのー???」
「ほんとだ!なに2人とも意気投合しちゃったの???!」
私達の体勢に気づいたお客さんが
囃し立てる。
さすがに私はまずいかなと感じて身を少し離そうとしたけど、思いの外自由に動かない足がもつれてさらにリクさんに寄りかかるように崩れた。
「いや、真実さんかなり酔ってて足元危ないから、柱代わり。笑」
「とかなんとか言っちゃって、お持ち帰りとか狙うなよー!笑」
「リクならあり得るねー、ムッツリスケベだしww」
「誰がムッツリですか!!誤解招くような事言わないで下さいよ~」
騒ぐお客さんの言葉に気分が良くなくて私はそっとかけていた体重を戻した。
ふぅっと深く息をついて前を向けば、ギクリと心臓が冷える。
倉坂、さん
真っ直ぐ私とリクさんを見る目は、まるで品定めするように細められていて、怖くなった。
やばい。
そう感じたけれど、同時に
淡く期待した。
少しは気にしてくれたかな…
恋愛回路のスイッチが入った私の頭はどこかお気楽で、狭い範囲の思考しか働かない。
「ふ、イチャつくのはいいけど、場の雰囲気乱さないでねー。盛り上がるなら、外に行きなよ2人とも。」
ズガンッ
と頭の上に石が落ちて来たような衝撃が走った。
薄く笑いながら、軽蔑とも取れる冷たい目線が私を射抜く。
いや、確実に、 蔑んでる目。
「なんすか倉さんまでー、ちょっと心配だったからしただけっすよ。何もしないっす」
「まぁ、みんなが楽しく飲めるならどうでもいいけどさ。笑」
「まじどエスですよね。笑」
何を言っていいかわからず呆然とする私を置いて2人の会話は進む。
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