第1章

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自然とまぶたが開いてカーテンから差し込む少しの陽射しにも、眩しさを感じた。 今は何時だろうか… ぼんやりと携帯を持って時刻をみれば、13時すぎ。 昨日はあれからなんとか、自分を否定して暴れそうになる卑屈な感情を抑えて寝る準備をした。 けれども何度寝ようと試みても蘇る恥ずかしさや悲しさや痛みが安らかに眠らせてはくれなくて、闇雲に深呼吸をしながら、ぐるぐる回る言葉の攻撃を回避しようとしてた。 おそらく眠りについたのは、日も上り普段なら出勤の準備をしてる時間だった気がする。 明るい声のニュースや音も何もかも聞きたくなくてテレビも付けずにただひたすら天井を見つめては疲れて瞼を閉じてを繰り返していた。 そんな格闘の末に迎えた睡眠はほんのわずかで、ざわついた思考を止めるには足りなかったらしい。 昨日の悲しみは、まだ私の胸の真ん中で重い存在感を放ちながら鎮座している。 身体を起き上がらせるのも面倒で、携帯を持つ腕すら重たい。 ひたすらに、今日が土曜日で良かったと願う。 そろそろ社長も一旦こちらに戻ってくるタイミングだったし、すごく優遇して貰っている分プライベートでこんなにボロボロの自分を見せるわけにはいかない。 社長はとにかく仕事になると冷酷無比になるから。 ここで社長にまで罵倒されてしまったら、私は生きていけない気がする。 月曜日には、しっかり仕事を出来る精神状態に持っていかなければ。 ふぅ…とお腹から息を吐き出すと同時に虚しさがまた込み上げた。
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