‡夜に来た頭蓋骨‡

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夜の外トイレで、しかもドアが無くて風が強い。持ってきた蝋燭の炎だけが不気味にユラユラ揺れている。 絶対、嫌なシチュエーションですよねこれ。 でも、そこしかトイレはないわけですから、仕方がない。 早く用を済まそうと思ってしゃがんでいると、悲惨なことに連れてきた犬が勝手に戻っていってしまった。 「あ、こらチビ! 戻るな!」 慌てて声をかけても、聞く耳もたずで犬はいなくなる。 まさかの事態に母は焦るわけですが、意外と焦ったりするとなかなか用を済ませられなかったりするんですね。 もたもたしながら座っていると、突然風の音に紛れてどこからか変な音が聞こえてきた。 (――え? なんだろう、何の音?) じっと耳を澄ませて聞いていると、それは カチカチカチカチカチカチカチカチ………… と固い物同士が小刻みにぶつかるような音を立てながら段々と近づいてきている。 こんなのは今までなかったことで、得体が知れない。
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