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これは父が若い頃に体験したという話です。
二十代当時、父はバーで仕事をしていた時期があり帰宅はいつも深夜の一時や二時くらいになっていたそうで、これもそれくらいの時間帯に体験したことだと聞いています。
仕事が終わり、いつも通りの歩き慣れた道を歩いて帰っていると、不思議なモノに遭遇したと言うのです。
途中、車一台がギリギリ通れるくらいの狭い路地を抜けるらしいのですが、そこの一角には廃病院となった、元は産婦人科の建物があって、その前に腰が直角に曲がった老人が一人立っているのを目撃したそうです。
仕事のある日は毎日通る道。
こんな夜中に犬の散歩をしている老人なんて、今まで一度も会ったことはない。
(……何だこいつは?)
少し不気味に思うも、その老人の横を抜けなければ帰ることができないため立ち止まるわけにはいかない。
内心警戒しながら、なるべく意識しないようにと心掛け足早にすぐ横を通り過ぎた。
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