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先に死んだ方が、自分の葬式の時に電気を二回消して側にいることを知らせる。
冗談半分で交わしただけのはずだったその約束。
(ああ……姉さん今ここにいるんだ)
この時、母には怖いという感覚は無く、漠然とした不思議な気持ちと約束を守って側にいることを知らせてくれた姉に切ない気持ちになったと教えてくれました。
その後、再び娘さんがブレーカーを戻してからは二度と電気が消えることはなく朝を迎えたそうです。
「やっぱり、人間っていうのは死んでも魂は残るものなんだなぁって、葬式の後も暫くは考えさせられたもんなぁ……。ちゃんと約束守ってくれた姉さんのことも嬉しかったし」
私にこの話を教えてくれた最後に、母はしみじみとそう言って懐かしそうに目を伏せていました。
今からもう二十年以上前に本当にあった、そんな姉妹の細やかな約束の話でした。
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