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すっかり日が暮れ、賑やかになっている東門街の裏。
生田神社からすぐの、花房診療所に、がんがんと外から扉を打つ音が響いた。
「大丈夫だよ」と向かいに声を掛け、よっこらしょと、花房医師は大きな尻を上げる。
短い廊下を進み、扉の鍵を開け、大きく口を開いた。
「ちょっと! もうちょっと静かに!」
竹山は「すいません」と言って、花房医師に頭を下げる。
「早く入って、鍵閉めて。もう、怯えちゃうでしょ」
中に入り、言われた通りにする。
竹山が、花房診療所に来るのは、一月振りだった。
「怖がらせないでよね」と言われ、靴を脱いでから、後に続き診察室に入った。
中に居る姿が見え、口を開ける。
きゃあっと言って、制服姿の女の子は立ち上がった。
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