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「……俺は、あいさつしようと思っただけで」
隣に居る花房医師に睨まれ、竹山が慌てて言った。
「ごめんね、驚かせて。この人、見た目はこんなんだけど、ヘタレだから」
そう言って、花房医師は女の子に近づき、竹山はその場から動けなかった。
「なんで、松波さんじゃなくて、あなたが来るの」
「……松は、別件で、もう大阪に向かっています」
聖子が教えれてくれた六甲道の住所を尋ねると、寝ぼけた顔で出迎えられた。
警察ですと言った途端、逃げ出そうとしたのを竹山が抑え、無事確保出来た。
車に乗せ、大阪府警に帰る間際、松波に花房医師から電話が入る。
「なんで、松波さん、あんたに頼むかな」
花房医師の言葉と態度が、竹山に刺さる。
「……さっき電話で、ちゃんと守るって、あいつと約束しましたから」
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