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竹山をぎろりと睨んだあと、花房医師は女の子に優しい顔を作る。
「だって。この人頼りないけど、約束だけは守るから安心してね」
女の子は、竹山の方を見て顔を下に向けた。
「あ、ちょっと、竹山さん、頼んだよ」
そう言って、花房医師は診療所から出て行った。
「はい」とくり返しているのが聞こえ、電話をしているのだと思い、竹山は少し先にある顔を見る。
びくりと両肩を震わされ、傷ついた。
「……竹山弥生だ…です。兵庫県警に勤めてます」
なるべく穏やかな声を出し、顔を歪めた。
「……刑事さん? ……梅林寺さんの、お知り合いですか?」
「はい」と答えると、女の子の顔が少し緩み、がくりと両膝を床につけた。
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