第4話 カタメの世界 2

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竹山は駆け寄り、声を掛ける。 年齢に似合わない青白い顔が、「大丈夫です」と言った。 「ちょっと! どうしたの!?」 帰って来た花房医師が、ふたりを見て叫んだ。 間に入り、真剣な表情で女の子の顔を見る。 奥の部屋に寝かせてあげてと言われ、竹山は軽い体を両腕に持つ。 「ごめんなさい」と、布団に寝かされた女の子は、目を閉じて言う。 横に座る竹山は、「謝らなくていいから」と残し、診察室に戻った。 「ありがとう。最近、腰が悪くてね、助かったよ」 椅子に座る花房医師は、緩んだ顔になっていた。 「いえ」と返し、勧められた、向かいのパイプ椅子に掛ける。 「なんか、あの子見てたら、……思い出しちゃうよねえ」
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