74人が本棚に入れています
本棚に追加
竹山は駆け寄り、声を掛ける。
年齢に似合わない青白い顔が、「大丈夫です」と言った。
「ちょっと! どうしたの!?」
帰って来た花房医師が、ふたりを見て叫んだ。
間に入り、真剣な表情で女の子の顔を見る。
奥の部屋に寝かせてあげてと言われ、竹山は軽い体を両腕に持つ。
「ごめんなさい」と、布団に寝かされた女の子は、目を閉じて言う。
横に座る竹山は、「謝らなくていいから」と残し、診察室に戻った。
「ありがとう。最近、腰が悪くてね、助かったよ」
椅子に座る花房医師は、緩んだ顔になっていた。
「いえ」と返し、勧められた、向かいのパイプ椅子に掛ける。
「なんか、あの子見てたら、……思い出しちゃうよねえ」
最初のコメントを投稿しよう!