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花房医師の言葉に、竹山は頷いた。
十年前、水族園で出会った、怯えた目をした姿。
「……詳しい事情は知らないんだけど。リリコちゃんに、頼まれてたんだよね。
あの子に、緊急の時はうちに行く様言ったって」
「そうですか」と言ってから、竹山は黙る。
「竹山さんは、何か聞いてないの? ちゃんと、毎日、連絡取ってるんだよね?」
花房医師に、また睨まれ、少ししてから答える。
「……最近は、メールのやりとりだけで、……その前から、仕事の事は、俺には話さないので」
返された大きなため息に、竹山は視線を下げる。
「……松……松波に、様子を聞いても、詳しくは教えてくれないので……」
「竹山さん」と聞こえ、いつの間にか下がっていた顔を向けた。
「あんた、馬鹿なの?」
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