第4話 カタメの世界 2

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垂れている目を吊り上げ、花房医師が珍しく早口で言う。 「そんなね、中途半端な事して、リリコちゃんがどんな気持ちか、分かってん の? 私はね、泣く泣く、その役目をゆずったんだよ?」 口を止め、花房医師は両肩を上下させた。 皆に怒られてばかりだなと思い、竹山は「すいません」と言うのを我慢した。 「……ごめんね。つい、リリコちゃんの事になると……」 花房医師が両目を下げ、小さく言った。 「いえ」と言ってから、竹山は言葉を重ねていく。 「……自分でも、情けないと思ってます。あいつは、……もっとひどい事されて、十年、脅され続けて、……俺は、思い出しただけなのに」 両膝の上、竹山は震え出した両手を握る。 「……撃った感触が、消えてくれないんですよ。……撃った時の、気持ちも……」
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