オキクの復讐

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 7カ月後。  寒さに曇るガラス窓越しに外を眺めていた菊江は、 校庭に制服姿でサッカーに興じている12番の姿を認めた。 部活を終えた彼は、 髪を伸ばして高校球児の趣はなくなったものの、 一段とイケメン度を増している。 「石津先輩。 私は初めて坊主頭のあなたを見た時から、 あなたのかっこよさを、 見抜いていました。 」  彼を目で追いながら、 菊江はつぶやいた。  菊江1年の春、 グランドで部活をしている彼の姿に一目惚れして以来、 彼女の片思いが続いている。 人目を避けて河川敷のグランドに通っては、 練習する彼の姿を追った。 菊江は練習のなかでも特にシートノックが大好きだった。
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