シリアスのはずがお兄ちゃんが彼氏のバックを狙っています。

9/25
前へ
/160ページ
次へ
学校の購買部から、ルーズリーフやノートが消え、放課後の今、各教室からガリガリとシャーペンの音が聞こえてくる。 「あの、つばさ君」 「何?」 「私たち、喧嘩してたよね?」 何故かつばさ君と私は背中合わせに勉強をしている。 私の背中に寄りかかり、つばさ君が単語帳を読んでいる。 「りのと麗人さんの依存した関係はムカつくけど―、そんな事でりのと話さないことが時間の無駄だって思ったんだ。だから一時休戦。許したわけじゃないもんね」 もんねって、ちょっと可愛く言いやがって。 でも答えが出ていない私にしては――願ったり叶ったり。 「願ったり叶ったりは、ちょっと使い方が違うと思う」 「あの! 心の声にまで突っ込み入れないで!」 あのおっとり、ほぼ眠ってばっかのつばさ君が、本気モードで勉強している。 「あのね、つばさ君」 「何?」 「一番になるのは、私だから」 そう言うと、 つばさ君の可愛らしい笑顔が歪んだ。 「へっ」
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加