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学校の購買部から、ルーズリーフやノートが消え、放課後の今、各教室からガリガリとシャーペンの音が聞こえてくる。
「あの、つばさ君」
「何?」
「私たち、喧嘩してたよね?」
何故かつばさ君と私は背中合わせに勉強をしている。
私の背中に寄りかかり、つばさ君が単語帳を読んでいる。
「りのと麗人さんの依存した関係はムカつくけど―、そんな事でりのと話さないことが時間の無駄だって思ったんだ。だから一時休戦。許したわけじゃないもんね」
もんねって、ちょっと可愛く言いやがって。
でも答えが出ていない私にしては――願ったり叶ったり。
「願ったり叶ったりは、ちょっと使い方が違うと思う」
「あの! 心の声にまで突っ込み入れないで!」
あのおっとり、ほぼ眠ってばっかのつばさ君が、本気モードで勉強している。
「あのね、つばさ君」
「何?」
「一番になるのは、私だから」
そう言うと、
つばさ君の可愛らしい笑顔が歪んだ。
「へっ」
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