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「麗人さん、ここ良く分からないんだけど」
「――ここか、そうだね、可愛いつばさの唇に例えると、無理にこじ開けたら、溶けない。分かるかな?」
お兄ちゃんが、つばさ君を壁ドンしながら、眼鏡を外し、つばさ君を覗きこんでいる。
でも、つばさ君は教科書から顔を動かさないので、とうとうお兄ちゃんがつばさ君の顎をくいっと持ち上げた。
「つばさ、唇は舌でこじ開けるんじゃない。優しく唇を啄んで、しっとりとお互いの体温で柔らかく溶けた時に、口は自然と開く。君を受け入れる」
「つまり、ここには難しい式とかで力技で解いたら難しくなるってこと?」
「……」
お兄ちゃんが結構本気で口説いている様な口調なのに、つばさ君は大人しく壁ドンや顎を掴まれたまま勉強モードだった。
「麗人さんって説明下手だけど、キスも下手なの?」
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