シリアスのはずがお兄ちゃんが彼氏のバックを狙っています。

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巫女先輩とお兄ちゃんが言い争う中、廊下へズルズルと引きずられて振り返ると――つばさ君が私の腕を引っ張っていた。 「つばさ君?」 「まだ俺に怒ってるの?」 大きなウサギの耳を、しゅんと下げて悲しげに笑っているかのようだ。 可愛い。 思わず、抱きしめたくなるような衝動に息をするのも忘れたけど、――でも違う。 これはきっと彼なりの計算なんだ。 「本当にキス、上手いの?」 そう言ったら、――なぜか涙が零れてしまった。 零れてしまったのは――悲しいから? 彼女なのに、そんなつまらない事で泣いてしまうほど、私はつばさ君の事を何も知らない。 知らないどころか――私つばさ君の計算している表面を好きになってしまった浅はかな奴だって思われてる? 分からない。 どんどん自分が惨めになっていく。
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