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つばさ君は、すっかり除け者にされて拗ねているようだったけれど、でも私もそう簡単に言えるわけがなくて。
それに、テストで良かったら効くって約束だったのに。
でも、触れ合った背中と背中が、暖かいのに、少しだけは慣れてしまった距離に、泣きたくなってしまう。
「10年前だから、私が六歳でお兄ちゃんが8歳。リリヤ君が簡単にその日の新聞を見つけてしまうぐらい、大きな事件だったよ」
「その日、たまたまお母さんが仕事で遅くなって、深夜にお父さんが迎えに出てて、数時間だけ私とお兄ちゃんは、大きな家に二人だけだったの。大きな家だけど、広い壁に囲まれた家で、そんな一階は全部鍵は閉めてあったけど――侵入されちゃって。
私とお兄ちゃんは、お母さんが今帰って来たんだって、寝てたのに飛び起きたの。――その日はお母さんの誕生日だったから」
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