自称白雪姫男と七席のテーブル。

3/11
前へ
/57ページ
次へ
ほぼ誰も利用しないような小さな駅に、穏やかな駅長さんと猫、そしてそのすぐ近くに喫茶店『SNOW WHITE AND THE SEVEN D WARFS』がある。ログハウスの様なあったかみのある、小さな喫茶店で、店の前にはハーブや花が植えられた花壇で囲まれている。 店の中では丁寧に壁やテーブルを拭いている 神経質そうな ウエイトレスがいる。 七席しかないテーブルを丁寧に何度も何度も拭いている。 「それぐらいで大丈夫だよ。いつもありがとう。竪毬(たてまり)さん」 顔の半分が髭に覆われている男が、申し訳なさそうに言う。 「いいえ。禁煙にしても、外のテーブルから煙は入って来ていますので」 竪毬と呼ばれたウエイトレスは、そう言うと苛々でこめかみを上下させながら拭きあげて行く。 朝から夕方まであの匂いが入ってくるのだから。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加