自称白雪姫男と七席のテーブル。

6/11
前へ
/57ページ
次へ
「――どうも。サンドイッチはいつもの時間でよろしいですか?」 「つれないね。僕のサンドイッチの時間まで把握しているのに」 『サンドイッチの時間』と言うと途端に間抜けな時間に思えてくるのは、この男がふわふわとした落ちつきの感じられない大人だからかもしれない。 「では、お時間は一時でよろしいですね?」 「君にとって、今日という日常も不変なく繰り返される一日にしか感じないのかもしれないけど、僕にとっては今日も貴方に会えた大切な日なんですよ」 「ありがとうございます」 いちいち芝居掛った、キザったらしい台詞に、竪毬も招集をつけたくて形だけの礼を述べる。 男はそんな竪毬の行動を、口に手を当てて楽しそうに笑う。 「では、ごゆっくり」 早く帰れと思っていても、そんな言葉をバイトの分際で言えるわけもなく、当たり障りない言葉で幕を閉じる。 口に手を当てた男の左指に、指輪がしていたのは確かにいつもの日常とは離れていた。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加