短編小説集

桜

あの桜の木の下には宝が埋まっている。

これは、僕の町に伝わる都市伝説である。

都市伝説なんて馬鹿馬鹿しい。

宝なんて埋まっている訳がない。

何故なら、あの桜は植えられてからせいぜい五十年程しか経っていない。

その様な桜の根の下に、宝があったら逆におかしいのである。

だけど町の人達は、その都市伝説を信じて宝を狙おうとする。

都市伝説が本当で、宝を掘り当てれば確実に、お金が手に入るらしいからだ。

僕？

僕は行かないよ。

いや、行けないと言った方が正しいのかな。

だって僕は、興味が無いし、木なんて見た事無いから。