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「早く行きましょう」
彼女はそう言って、俺の手を取って走り出す。
俺もそれに伴い、彼女の手を握り返す。
今日は俺と彼女の大切な記念日なのだ……………。
緊張する。
汗が出てきた。
手は汗ばんでいないだろうか。
気になる、とても気になる。
「どうしたの?ずいぶんと思い詰めた様な顔をしてるけど?」
「いや、何でも無いよ。ありがとう」
彼女にそう言うと、彼女は嬉しそうに俺に微笑む。
良かった………汗の事は全然気にしていない様だ。
「ちょっとそこで待ってて。すぐに終わるから」
俺は彼女にそう告げて、少し離れた所で手の汗を拭く。
落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け……………。
よし、行くか!
俺は心を決めて彼女の元へと向かう。
俺の事を待っている彼女の姿は、まるで儚く消えてしまいそうな程美しかった。
…そして待っていてくれた最愛の人へ、俺はこう言った。
「じゃあ、早く行こうか」
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