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そのとき、教室のドアが開き、ゆっくりと生徒たちを怯えさせないように教師が入ってきた。
その教師は浮かない顔で教壇に立ち、教室を一通り眺め、生徒を見守るように、静かに口を開いた。
生徒たちを警戒させないように。
もう誰も傷つくことのないように。
陽太もただひたすらに祈っていた。
「新しい月になりました。
皆さんなるべく、いや絶対に、誰にも不快な思いをさせないように。
これ以上、誰も犠牲にならないために……」
教師は冷静さを保っているようだが、きっと心のどこかでは今起きている異常事態に対し恐怖を抱いているのだろう。
そして陽太は現在このクラスの現状を嘆くように深く再認識した。
「このクラスは呪われている」
と。
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