chapter12 輪郭

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   3  7月8日 同じ匂い 陽太が目を覚ましたときには 水滴に曇った窓から見える景色はすっかり暗くなり、 夜に耽っていた。   雑誌類や様々な事件の参考書が散らばる汚いソファーからゆっくりと身を起こした。 「……ここは?」 「気が付いたかー?」   飲み物を持って、乙黒が陽太のもとにやって来た。 どうやらここは乙黒探偵事務所の中らしい。 桜と霧島と共に情報を聞きにやってきた陽太だったが、 『御影零』という名前を聞いてそれから記憶が無かった。 「えっと……あれ?  どうして俺……まさか寝てたんすか?」 「んー。 寝てたってより気絶に近いけど。 ……いや寝てたね、随分ぐっすりと。 人様の城でくつろぎ過ぎだよ、 少しは遠慮を知れ」 「あ……えっと、すみません」  
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