chapter12 輪郭

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乙黒は呆れ顔を陽太に向けた。 「霧島と胡桃沢には先に帰ってもらったよ。 お前はただ寝てるだけだったからね」 「どうして寝てたんですか?」 「アタシが知るかよっと。 ま、そうだな……御影零……」 「!」 「……って名前を聞いた途端に倒れるようにして寝たんだよ」 「……」 「この名前に聞き覚えがあったのかい?」 「い、いや……無いはずです。無いはず」 「『はず』ってことは『ある』って 言っているようなもんだぞ」 「……知らないです、たぶん」 「たぶんって……」 「ただ前にどこかで聞いたことがあるような……ないような」 「……お前のクラスメイトらしいからな。 聞いたことがあるのは当然だろが」 乙黒は辞書みたいに厚い本で陽太の頭をぽかりと叩いた。 「あ、いて」  
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