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乙黒は呆れ顔を陽太に向けた。
「霧島と胡桃沢には先に帰ってもらったよ。
お前はただ寝てるだけだったからね」
「どうして寝てたんですか?」
「アタシが知るかよっと。
ま、そうだな……御影零……」
「!」
「……って名前を聞いた途端に倒れるようにして寝たんだよ」
「……」
「この名前に聞き覚えがあったのかい?」
「い、いや……無いはずです。無いはず」
「『はず』ってことは『ある』って
言っているようなもんだぞ」
「……知らないです、たぶん」
「たぶんって……」
「ただ前にどこかで聞いたことがあるような……ないような」
「……お前のクラスメイトらしいからな。
聞いたことがあるのは当然だろが」
乙黒は辞書みたいに厚い本で陽太の頭をぽかりと叩いた。
「あ、いて」
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