第1章

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なんだよ、イタズラか? 自転車のかごに収まったその黒い石をおそるおそるつかんだ。 「ひっ!」 つかんだ瞬間、石がぶるっと震えた気がしてオレは石を落した。 それになんだか生温かいような・・・ そのまま排水溝に転がっていく石をそれ以上見ずに、オレは大急ぎで自転車で帰ったのだった。 だが、その石は毎日オレの前に現れた。 しかもどんどん頻繁に。 電信柱の陰、学食の入り口、誰もいない教室の片隅にひっそりと佇んでいたときには訳のわからない恐怖を感じた。 たかが石、別に何をされた訳でもない。 ただそこにいるだけ。 だが目的がわからない。 石はただただ不気味だった。 無視しようとしてもその異質な石は街の中で嫌でも目に付いた。
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