第1章

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そんなことが続いたある日の夜。 その日は学校で例の石を見かけることはなかったので、オレは幾分ほっとして、眠りについた。 うとうとしていると、誰かがアパートの廊下を歩いている。 いや、これはスーツケースを引きずるような、ごろごろという音だ。 だれか出張からでも帰ってきたのだろう。 しかし、それにしては、不規則な音だった。 まるでだるまをころがすような・・・ 翌朝、オレは玄関のドアを開けて小さく息をのんだ。 あの石だ。 あの黒い石が玄関に居座っている。 それじゃあ昨日の廊下を転がるような物音は・・・ 「くそ!気持ち悪いんだよ!」 オレは半狂乱になってその石を踏みつけた。 「もうオレにつきまとうな!」 踏みつけられた石は靴の泥で汚れて、廊下を転がっていった。 いつの間に雨が降っていたのだろうか? 転がり、止まった石はまるで涙を流したかのように、濡れていた。
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