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それから、約1年。
今日は雪弥くんとの結婚式の日。
やっと雪弥くんと家族になれる。
何度も深呼吸をしてドキドキしている心臓を落ち着かせる。
控え室に叔母さんが入ってきた。
「とっても綺麗よ、萌」
「ありがとう、叔母さん。こんな素敵なドレス作ってくれて」
「当然じゃない。大切な子供の結婚式ですもの」
「……お父さんとお母さん、見てくれてるかな?」
「絶対見てくれてるわ。2人とも大号泣よ」
「そうだったらいいな」
叔母さんに笑いかけると叔母さんが申し訳なさそうにした。
「ねえ、萌。まだ、『自分は2人に許されない事をした』って思ってる?」
「……少しだけ思ってる」
「少しだけ?」
「うん。前は完全に私が悪くて、酷い事したんだって思ってた。でも雪弥くんが『違う』って否定してくれたの。雪弥くんが思い出させてくれた。私がちゃんと2人に愛されてた事」
そう言うと叔母さんの目から涙がこぼれた。
そして優しく笑うと私の頭を撫でた。
「良かったわね。そんな素敵な人と出会えて」
「叔母さんのおかげだよ」
「私は酷い事しか……」
「叔母さんが私を育ててくれたから雪弥くんと出会えたんだよ?ありがとう」
そう言って頭を下げる。
叔母さんは私を抱き締めた。
「さあ、行きましょう?萌の旦那様が待ってるわ」
「うん」
叔母さんと手を繋いで控え室を出る。
そして式場へ向かった。
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