「ただ、君が好きだから」

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荒木くんと2人で会社を早退して荒木くんの家に帰る。 久しぶりに来た荒木くんの家は相変わらず綺麗だった。 「適当に座ってて。コーヒーいれてあげる」 「あ……。ありがとう……」 ゆっくり近くのソファーに座る。 しばらくすると荒木くんがカップを2つ持ってやって来た。 それを私の前のテーブルに置くと隣に座った。 なんか、ちょっと緊張する……。 地味に距離近いし……。 ドキドキしているとコーヒーを飲んでから息をついた荒木くんが口を開いた。 「そういえば」 「え!?」 「住吉がウチに来るのって、たこ焼きの時以来だよね?」 「あ、うん。あの時は突然帰ってごめんね?手伝いもろくにしないで」 「ううん。俺こそ送れなくてごめん。しかも住吉に用意させてたし……」 「そんなっ!いいんだよ!!荒木くんは皆から好かれてるんだから」 そう言って笑うと荒木くんも笑い返してくれた。 「でも、本当に帰らなくていいわけ?」 「え?」 「俺はいつまで居てくれてもいいけど、着替えとかないし」 そう言われてハッとした。 本当だ。 着替え、どうしよう……。 しかも荒木くんに甘えてばかりもいられないし……。 悩んでいると荒木くんが優しく笑って頭をポンポンと撫でてくれた。 「今から買い物、行こっか」 「え……?」 「着替えとか買いに行こうって言ってんの。俺と一緒に住むなら必要でしょ?」 一緒に住む!? 赤くなる顔。 そ、そうか。 荒木くんの家にお世話になるって事は荒木くんと一緒に住むって事になるから……。 ちょっと待って。 これって、荒木くんと同棲って事!? .
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